なぜ日本は台風が多いの?台風の定義と発生のメカニズム

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在(H30年8月31日)、台風21号が日本列島に接近しています。気象庁の発表によりますと、この2018年8月現在で日本に上陸した台風の数は3つであり、この21号の上陸で4つ目となります。(この場合の"日本に上陸した台風"というのは本州・九州・四国・北海道に上陸したものであり、沖縄に上陸したものはカウントしていません)

  恐らく皆さんも一度は

「日本に台風来すぎじゃない…?」

という疑念を抱いたことがあると思います。

 

そこで今回は、台風のメカニズムと定義に基づいて、日本に台風が接近しやすい理由を調べてみました!

 

 

1.台風の定義:台風と呼ぶのは日本だけ?

 

そもそも台風とは、北西太平洋に位置する、低気圧の最大風速が約17m/s以上にまで発達した熱帯低気圧を指します。

 具体的な位置は、北西太平洋の「東経100度線から180度経線までの北半球」に中心が存在するものです。地図上で指すならばタイ・インドネシア付近〜日付変更線となりますね。

 

そのため、同じぐらいの風速の熱帯低気圧でも、北西太平洋にないものは「台風」とは呼ばれません。

これらの熱帯低気圧のうち、北インド洋と南太平洋にあるものはサイクロン北大西洋と北東太平洋にあるもののうち、最大風速が32.7m/s以上のものはハリケーンと呼称されます。

 

そのため、厳密には「日本に台風が来やすい」というのはあまり理にかなっている表現とは言い難いのです。だってそもそも台風は東南アジア付近で発生し、通過していくものを指すのですからね…。

 

 しかし、この17m/sにまで発達した熱帯低気圧(以下発達した熱帯低気圧)は、世界規模で見ても日本が位置する北西太平洋で発生している割合が最も高いのです。なんと、世界の海域で発生する発達した熱帯低気圧のうちの、約3割が北西太平洋で生じています。

 

 また、2014年の調査によると、日本は世界の国の台風が上陸した平均回数が多い国ランキングで3位に位置しています。そのランキングでは

 1位 中国:平均上陸数6.7(個/年)

 2位 フィリピン: 4.0

 3位 日本: 3.7

 4位 アメリカ:3.3

 

となっています。そのため、日本は世界的に見ても台風(発達した熱帯低気圧)が多いといっても過言ではありません。

 

 

でも、なぜこの発達した熱帯低気圧(台風)は、他の海域と比べて北西太平洋で発生しやすいのでしょうか?

 

 

2.台風発生のメカニズム

 

そもそも台風は海で発生するものですが、その発生の仕組みは単純なものです。

 

 1. まず、海にあたる強い太陽の日差しによって海水が蒸発し、上昇気流が発生します

 2. その上昇気流が空中で冷やされ、雲が発生します。

 3. この雲が発生する過程で上昇気流は熱を放出し、強まっていき渦を発生させます

 4. その渦が地球の自転の影響などにより、より大きく渦を巻くようになり、熱帯低気圧が発生します

 5.その熱帯低気圧海上を進行中に成長し、台風の規模になってゆく

 

という流れです。最初から台風の規模で発生しているわけではなく、海を渡り日本列島に近づいて来る過程で成長していき、あれほどの規模になるのですね。

 

また、疑問となっていた、なぜ北西太平洋に台風が発生しやすいのかについては、そもそも北西太平洋では台風の元となる熱帯低気圧ができやすいというものがあります。研究によると、熱帯低気圧ができる時の適切な海水温は29度〜30度であり、北西太平洋はこの海水温である海域の面積が大きいという結果が出ています。

 

 

3.なぜ台風は孤を描いて日本に来る時があるの?

 

これは、我々が社会や理科の授業で習った

「偏西風」が影響しています。偏西風とは、日本の上空に吹いている風で、常に西から吹くようになっています。この偏西風によって、台風は東向へと力が加えられ、日本の手前で急に進路を変え北東へ進むことが多いのですね。

 

また、台風の進路は基本その上空に吹いている風の向きに左右されます。台風の発生は海水温がある程度高ければ条件を満たすため、台風は春〜秋にかけてほぼ一年中発生するものなのです。

 しかし、日本に来る台風はだいたい7月〜9月にかけての時期ですよね?これはなぜなのかというと、春・秋に吹いている東からの風によるためなのです。この東からの風によって台風は進路を西へと変更され、フィリピンやベトナムの方面へ向かっていくため、日本に影響は及ぼさないのです。

 

 

まとめ

 

日本に台風が多いと感じるのは、そもそも日本が位置している海域で熱帯低気圧が発生しやすいという理由がありました。また、ランキングを見てわかる通り、報道されていないだけで日本以外にも台風の上陸は盛んに行われている国も存在していました。今年、さまざまな被害をもたらした台風ですが、このような災害に対応するにはやはりそのメカニズムについて知る必要があると思います。台風にもっと深く知りたい方は是非参照URの記事・論文を読んでみてください。

 

 

参照:http://www.jma.go.jp/jma/kids/faq/a4_07.html

http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/nenpo/no36/36b1/a36b1p03.pdf

https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/landing/landing.html

http://www.fudeyasu.ynu.ac.jp/education/lec/wnc/world-v1.pdf

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/台風#日本へのコース

https://m.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/q14133174134?ccode=ofv&pos=4